ウォーキングデッド・コミック 152話 「恐怖下での団結」あらすじ・考察・感想

ウォーキングデッド・コミック 152話 「恐怖下の団結」表紙 コミック あらすじ ネタバレ
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The Walking Dead コミック152話の原題は、”United in Fear”です。United は、共通の目的のために政治的に結集する。または、共通の感情によって団結するというような意味です。「恐怖による団結」、恐れを抱くことで一致団結するというような意味となります。

表紙は、戦闘服に身を包み銃を持ちフル装備で歩いている Dwightとシェリー。背景に二人の男性が壁に書かれたスローガンを、”Silence the Whispers”に書き換えているシーンです。

“Silence the Whispers”は、「ウィスパラーズを黙らせろ」です。(静まらせる。の意で、この場合の用法は、実質的には潰すに近い強い意味がある言葉です。)

152話 「恐怖下での団結」- United in Fear あらすじ

151話の最後は、無線機による呼びかけに応答があって、驚愕の表情を見せるユージンで締めくくられました。

ユージンと正体不明の相手との無線による会話

「うっ」、「うっ」と驚きで言葉を発することができずにいるユージンに、「繰り返します。我々の声が聞こえますか?そこにまだいますか?どうぞ。」と無線機にメッセージが入ります。「私は、、、あなたの声を聞くことができています。どうぞ。」と信じられないような表情で答えるユージン。

「OK。まったく。ああ、驚いた。あなたがどの位の期間、これをやってきたのか知らないけど、私は、今の今まで、応答がなくて無駄な時間を数年間、続けてきたのよ。バカみたいにただそれだけを。。。今、かなり感慨深い状態なの。どうぞ。」と声の主から返事。

「おめでとう!君はどこにいる?グループに属しているのか?たくさん聞きたいことがある。続けて良いのかな?どうぞ。」少し呆然としたような変わらぬ表情で応答するユージン。

「もしも、あなたがお話をしたくないのでなければ、良いわよ。あなたの質問について…私は無線で誰かに出会ったことは、まだなかった…けれども、私は他の人に過去に出会ったことは確かにあるわ。現時点で、私は注意しなければならない。あなたは、危険な人かもしれない。だから、あなたのことをもう少しよく知るまで、いかなる質問にも答えないと思う。どうそ。」

ユージンは、少し間を置いて、「適切なことだ。私の近くには敵対するグループがいる。君がその一員でないことを望んでいるだけだ。」

「あなたは何も話していない。私は、嘘をつくことができないところについて答えることができるとは思えない。お互いに信頼を得るには時間がかかる。あなたは敵対するグループのことについて心配していると私に話すことは、私があなたはそうでないと思わせる良い方法だわ。あなたを信じることができるかもしれない。同時に、もし、私があなたの敵の一味だったら、私は多分、あなたに友好的な素振りをして、情報を引き出そうとするかもしれない。そうして、それを利用して、あなたを痛めつけることに使用するかもね。これが難しいところよ。どうぞ。」

「もし、君がグループの一員だったら、なぜ、君が一人だと私に思わせようとするだろうか?そのことは、君が弱くて痛めつけやすいと思わせるだけだ。さらに、一人だけだったら、ここまで話をしないと思う。私は、グループに属している。そのことを隠す理由はない。どうぞ。」

「グッドポイントね。私もグループに属しているわ。少し、前進したわね。どうぞ。」

「君が、私の地域にいるのであれば、この情報を持っているはずだ。我々は、多くの家が散らばっているネイバーフッド(住宅街)にいる、我々の周りに壁を構築している。内側は安全だ。そして、守ることも簡単だ。そのようなことを多々行なってきた。どうぞ。」

「そんな場所があるの?防御しなければならない。そうでなければ、潰されてしまう。または、(敵を)潰すということ。その場所に何人いるか話すことは構わないのかしら?」

「約50人。どうぞ。」

「えっ、それだけ? OK、あなたが嘘をついていないのなら、そのことは不利になるわ。その情報だけは、今日、あなたに教えることができる。これは良いことよ。見知らぬ人(ストレンジャー)。今回の会話で、少し進展したところがあると思う。基本的なルールを決めましょう。

私は、あなた以外の人とは話をしたくない。そして、同じことをあなたも適用する。もし、我々が信頼を築くことができれば…我々だけで行うことが必要だわ。私は、ここ(現在会話している無線の周波数帯)にあなたが毎日いることを期待しない。でも、この時間帯に、毎日、チェックするようにするわ。あなたも同じようにするの。もし、誰か別の人がここに加われば、我々の信頼は無くなる。だから、あなただけ。分かった?どうぞ。」

「OK。分かったよ。私はそれができる。私は何か連絡しなければならないことが起きない限り、このことを仲間にレポートしない。同じ様にすることを君にもお願いする。どうぞ。」

ガブリエル神父の戦闘トレーニング

向かってくるウォーカーズの頭を撃ち抜いていくシーンが登場します。次々に倒されるウォーカーズ達。撃っていたのは、なんとガブリエル神父!神父の後ろで、指示をしているのはDwight。

「良い。とても良い。ガブリエル。しかし、次は、一番近いやつを最初に打つんだ。それから、次にとりかかれ。」少し放心状態ぎみの神父にDwightが「大丈夫か?」と声をかけます。

「すまない。私、私は大丈夫です。随分長いことやっていなかったので。私は、これほど簡単にできるとは思っていませんでした。」

「それがトレーニングだ。自然にできるようにならなければならない。恐ろしいことだがそうなるべきだ。しかし、これが我々が住む世界の現実だ。」「良くやった。神父。」

「神も自慢に思うだろう。」と神父の肩に手を乗せて言うDwight.「私は、彼(神)はそうではないと思う…」

その様な会話をしている神父とDwightに向かって、更にウォーカーズがやってきました。「おお、見てみなさい。彼(神)に更に自慢に思ってもらう時が来たよ。」「こいつらはあなたがやるんだ。始めなさい。」とDwight.

「わお。彼(神父)をこれだけ早く訓練できるなら、我々は大丈夫ね。」

「まだ、この人(神父)のことは心配だ。」(Dwight)

「え、なぜ?彼を見てみなさい。」

「その通り。彼は、死者を殺すことができる。我々が彼を訓練させているのが生きている者を殺すためと認識したら、何が起こると思う。」(Dwight)

ブランドンとリック

気が生い茂る中の一本道を前に向かうリックと人影が前方から向かってきます。両者の顔がアップになります。お互いに真剣な眼差しです。

「ブランドン。お悔やみを申し上げる。このことは、君にとってとても辛いことだと分かっている。私に対してとても怒っているに違いないと考えている。

それは、理解できる。君は私に怒っていることは分かる。君にはその権利がある。私は、克服することを望む。良い方向に持っていきたい。

私ができることは何もない。今、何も言うことはできない。しかし、私は君のためにここにいる。このつらい状況を君が克服するための手伝いをできるだけしたい。」

怒りに満ちた表情を浮かべるブランドン。

リックを突き飛ばします。

「ブランドン。止めるんだ。」

「畜生」と言って更に両手でリックを突き飛ばします。リックは、もんどり打って倒れます。

ブランドンは、倒れているリックに向かって「なさけない奴だ。」と言って、足蹴にします。そして、リックの上に乗りかかって、顔面を何度も殴りつけます。息を切らすブランドン。

「気が済んだか?」とリック。目にしっかりした意思が籠もっています。

「馬鹿野郎。お前は、親父を殺した。そして、俺にお前が手助けすると言う?!それがお詫びなのか。殺してやる。」と言うブランドンに、リックがステッキを使って反撃します。

「話を聞きなさい。知らないと思っているのか?お前が私の息子をどの様に痛めつけようとしたのか?レンガで彼の頭を殴っただろう。そして、お前の両親は、グレゴリーがマギーを殺そうとするのを手伝おうとした。そして、お前の父親は私を殺そうとした。私は、君にチャンスを与えたい。手伝いたい。しかし、今、どうして良いのか分からない。」

ステッキで首を押さえられているブランドン。息ができずにいます。「代わりに、窒息させてしまう方が良いのかもしれない。」と険しい顔のリック。

「リック!」と背後から駆け寄ってくる人影があります。駆けつけたのは、ミショーン(Michonne)でした。

「もう終わった。下がりなさい。」と杖をつきながら、リックは立ち上がります。

「マギーは、今日、ヒルトップに向かって出発する。私は君の手助けをしたいと行った。そして、それはその意味の通りだ。君はここに留まる。私の監視下にいるんだ。君が何かバカげたことをしなくなるまでは、執行猶予の状態となる。君は、境界線を超えた。

次は、君に弾を撃つぞ。」

「大丈夫?」とミショーンは、ブランドンに声をかけます。「大丈夫だよ!」と悔しげな顔のブランドン。

銃を抱えて2列に並びながら、ゲート内に帰ってきた部隊、戦闘はDwightとガブリエル神父です。Dwightは、「今日は良くやった。」とガブリエルに言います。「ありがとうございます。」

ライフルを方に背負いながら、教会に戻りドアを開け、ライフルを置いて、ガブリエル神父は十字架の前に跪きます。「主よ。どうか、私をお許し下さい。私は殺しました。私は人殺しです。」

ブランドンの企て

子供と手をつなぎながら馬車に向かって歩くマギー。隣を歩いているのは、ジーザスです。彼らを後ろの物陰から見ているブランドン。

「あなたが無しで、私は何をすれば良いの?」とマギーはジーザスの背に手を当てながら言います。「ふざけているのかい?君は、私よりも遥かに強い。君は、問題なくやり遂げるだろう。全てが片付いたら、私も戻ります。私の本はあっち(ヒルトップ)にあるからね。」

憎しみの表情を浮かべるブランドンの背後から、「ブランドン?あなたも私達と一緒に戻るの?」

バッグを手に持ち、リュックを背負ってブランドンは、どこかに密かに行こうとしています。

牢屋の中で座っているニーガン。階段を降りてきた人物に向かって、「お前は誰だ?」と尋ねます。「俺の名はブランドン。ここからあなたを出してあげる。」手には、牢の鍵を持っています。

ニーガンは、頭の後ろに手を組んで不敵な表情で、「少年。お前が誰か知らん。しかし、物事を全く分かっていないことは分かる。俺はつんぼではない。やつらが一日中、警戒している。2フィートも進まない内に、リックが、俺たち二人を撃つだろう。」

「ええ、その通りです。キャラバンの一行がヒルトップに向かう準備をしています。数十人が旅立とうとしています。その一行に紛れれば、誰にも気づかれません。」

ニーガンは、体勢と表情を変えずに、「喜ばしくないこととは思わないが…なぜ、その様なことを試みようとしているのだ?」と言います。

「あなたは、リックグリムスを俺と同じほど憎んでいる唯一の人だと思うからです。

外にはウォーカーズの巨大な群れがいます。彼ら(リック達)は、我々が邪魔をすることを望んでいません。リックは、ウィスパラーズに対して戦争の準備をしています。我々がウィスパラーズところに行って、彼らに何が起ころうとしているのかを伝えれば、彼らは攻撃することができて、リックとここにいる奴らを殺してくれるかもしれません。彼らが彼らを殺して、全てが殺し合えば…

僕、一人だけでは行くことはできないことは分かっています。あなたが、僕を連れて行ってくれる。あなたは自由になり、どこにでもいけます。または、ここに戻ってきて、ウィスパラーズと一緒にリックを殺す。あなたがしたいように何でもできます。」

「イエスとは俺は言っていないが、ノーとも言わない。

正直なことを言う。お前が行こうとしていることは、好きだ。考えさせてくれ。」と思わせぶりな表情でニーガンは語ります。

その頃、ミショーンとリックは

壁に”SILENCE THE WHISPERS”(ウィスパラーズを黙らせろ)のスローガンをペイントしている作業を行っている男たちを見ながら、ミショーンとリックが会話をしています。

「本当に必要だと思う?」

「もちろんだ」

「私は、人々がウィスパラーズについて忘れて欲しくない。人々に毎日、ウィスパラーズのことを片時も忘れないようにして欲しいと思っている。彼らに激しい怒りを持って欲しい。」

「そのことが、数日前に問題を起こした原因ではないかしら?」

「そうだ。その怒りに私が注力を開始する前のことだった。今、我々は人々を訓練している。戦闘に対する準備を行っている。私が選んだ道に対して、人々がセカンドゲス(誤った推測)をすることはさせない。私は、その怒りを私から別の方向に向かわせる必要がある。」

「そうね。そんなことにはさせられない。」

「君は、別の考えを持っているのか?キングダムを私に反旗を翻すように君がすることはできない。」

「リック。私は決して…」とミショーンが言いかけているところに、「リック!」と誰かが声をかけます。

慌てふためいた様子で、二人に向かって女性(ローラ)が、と走り寄りながら叫びます。「牢の鍵が、無くなっています!」

「ニーガンをチェックしてみたか?」と慌てた様子でリックが聞き返します。

「私は怖くて、まっすぐにあなたのところに来ました。」とローラが返事をする傍らで、ミショーンが全力で走り始めます。ミショーンに向かって、「行って–後からついていくから。」とリック。

「すみません。誰が鍵を取ることができたのか分かりません。」

「彼がまだあそこにいることを祈っていなさい。」

ニーガンを閉じ込めていた家屋の前に来たリックとローラ。

「外で待っていなさい。彼らにゲートを閉めるようにと伝えて、誰も外に出さないように!」

「分かりました!」

リックは、家屋の中に入り、階段を降りていきます。「ミショーン?」

険しい顔でもう一度「ミショーン?!」と言うリック。

「彼は出ていったわ。」

「何ということだ。」

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感想と考察

152話は、151話の最後で無線機に応答があって、ユージンが驚くところからの続きで始まりました。声の主は、女性のようです。どこに住んでいるのか?仲間は何人いるのか?敵か?正体がお互いに全くわからない状態での会話が始まります。お互いに相手側に対する興味は強く持っていていながらも、安易に気を許すことは危険なため、警戒しながら慎重な会話となります。

ユージンも言葉を選びながらも、自分たち側の情報を少し提供することで相手の警戒心を少し解きました。引き続き、話をすること、話をするのは当面の間、当事者の二人だけに留めることを約束し合います。

新しい生存者のグループが存在することが分かりました。今後、ユージンと正体不明の女性の無線での交信が、どの様に発展していくのか、そして、お互いのグループとの関わりがどうなっていくのか興味深いところとなっています。

林の中で、ブランドンと対峙するリック、父親を殺されて怒り心頭のブランドンに対して、何とかしたいと思うリックですが、ブランドンとの溝は埋めることはできず、ブランドンは暴力に訴えます。最後は、ミショーンが仲裁に入って、リックとブランドンの対峙は終わります。

ミショーンは、ブランドンに同情的ですが、ブランドンはリックに復讐する恐ろしい企みを持ち、実行に移します。

ブランドンの企ては、マギーを始めとする一団がヒルトップに戻る機会を利用して、ヒルトップ一団の出発に紛れて、ニーガンを牢から出して、ウィスパラーズの所に行って、リック達の動きを知らせて、攻撃させるというものでした。

牢の鍵を盗み取って、ブランドンはニーガンが閉じ込められている牢に行きます。ニーガンは、当初、ブランドンに興味を示しませんでしたが、ウィスパラーズにリック達を襲わせる企てを聞いて、興味を示します。

152話の扉絵にもなっている”Silence the Whispers”(「ウィスパラーズを黙らせろ」)のスローガンを壁にペイントする作業を行っている男たちの前で、壁のスローガンについて、ミショーンとリックは話しをしています。表紙では、スローガンの前を戦闘服に身を包んで、通り過ぎる(壁などは向かっている方向を見て進む)Dwight達とミショーンとリックが対比されるような意味合いも込められて描かれています。

ミショーンは、スローガンに対して、懐疑的な意見を持っていることをリックに伝えます。リックは、メンバーの怒りが自分に再び向かうことが無いようにするためにも、ウィスパラーズの脅威と戦闘に向かって一致団結するために必要なことであると語ります。

151話では、リックはミショーンにキングダムに行って、リーダーとして率いて欲しいとの考えを伝え、ミショーンも同意しました。しかし、壁のスローガンなどについて懐疑的な考えのミショーンに、キングダムが自分に敵対するようなことにはなって欲しくないという不安を述べます。ミショーンは、意見の相違があってもリックに敵対するような気持ちは全く持っていなかったようですが、話の流れからミショーンへの不安をもらすようなことを言います。

この様な微妙な個々のキャラクターの心理描写ややり取りなどが巧みに描かれているのが、ウォーキングデッドの魅力の一つです。実際の生活でも、ちょっとした意見の相違などで亀裂が生じたり、相手に対して、不安に思ったりすることはあります。TWDの様な極限状態とは違うのですが、人間関係のリアルさをうまく描いていると思います。

二人の間に微妙な亀裂が生じそうになった時に、女性が駆けつけて、ニーガンの牢の鍵が無くなっていると大慌てで、伝えます。即座に走り出すミショーン。後から駆けつけるとミショーンに向かって叫ぶリック。非常時の二人の呼吸はピッタリです。この話の展開も、152話のタイトルである”United in Fear”に間接的に繋がるところがあります。

ただし、リックとミショーンを含むコアのメンバーたちの結束、お互いの信頼感、絆は非常に強いので、タイトルにあるUnitedとのつながりは強くはありません。Unitedは、ある目的のために結束するような、政治的な意味なども含まれる言葉です。

ニーガンを監禁していた家屋にリックがたどり着き、階段を降りながら、ミショーンに声をかけます。ミショーンは返事をしません。リックが再度、ミショーンに呼びかけながら、階段をさらに降りていくと、もぬけの殻となっている牢とその場に立ち尽くすミショーンのシーンで幕を閉じます。
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